背景
ITコストの削減やIT活用の効率化による企業競争力の強化は、昨今、企業にとって最重要課題となっており、これを実現するクラウドコンピューティングが大きな注目を集めています。企業のみならず、電子自治体の基盤構築にも活用しようという動きも広がっています。中でも、総務省が平成21年度から取り組んでいる自治体クラウド開発実証事業は、地方公共団体の情報システムをデータセンターに集約し、市町村が共同利用することにより情報システムの効率的な構築・運用を実現しようというものです。
当社は、北海道での自治体クラウド開発実証事業の一環として行われた利用実証のうち、アプリケーション接続実証の共同利用型業務アプリケーション接続実証に参加し、業務のクラウド利用実証において、当社のマイグレーション技術を活用した業務システムのクラウド利用実証を行いました。
マイグレーションの適用実証
北海道では、道と市町村が協力しながら、北海道電子自治体プラットフォーム(HARP)構想を推進しています。これに関連して、さまざまな開発利用実証を推進しており、実証事業にクラウドコンピューティングを活用することで、行政情報システムの統合・集約、共同利用などを目指しています。当社が受託したのは、アプリケーション接続実証における共同利用型業務アプリケーション接続実証のマイグレーションで、移行実証に当社独自のマイグレーション技術を適用して推進するものです(図-1)。
図-1 マイグレーションとの融合による、基幹システム・多数業務のクラウド利用実証イメージ
移行利用実証の流れ
対象業務システムは人事関係システムで、大型汎用機の環境からクラウド環境へ移行する際の方法論や課題抽出から、自治体クラウド基盤上でのマイグレーションおよび動作検証・評価まで、また、移行計画・設計からクラウド化移行・テスト、実証テスト支援、報告支援までを行いました(図-2)。
図-2 マイグレーション利用実証・タスクフロー
移行対象範囲
前提条件となったソフトウェア構成は図-3のとおりです。移行先は、仮想環境 : VMWare ESXi4.0、OS : Windows2008 Server、CPU : インテルXeonプロセッサE5530(2.40GHz)、HDD : 10GB、メモリ : 4GB、仮想マシン2台の実証環境上で稼働します。
♯ |
分類 |
現行 |
移行先 |
1 |
OS |
ACOS-4 |
Windows |
2 |
ファイル |
VSAS、SEQ |
ISAM、SAM |
3 |
オンライン制御 |
VIS |
WebsphereApplicationServer |
4 |
言語 |
COBOL85 |
MF-COBOL |
5 |
画面定義 |
MFDL |
JSP/Servlet |
6 |
書式 |
FORMEX |
SVF |
7 |
JCL |
JCL |
DOS Batch |
図-3 ソフトウェア構成
当社では、国内外で特許を持つ独自のマイグレーション手法、40年を超えるシステム構築のスキルとノウハウ、上流から下流まで一貫したメンバーによる推進体制などで今回の実証に臨みました。北海道が実証終了後も、重要な基盤として行政の効率化と地域の活性化に活用していくことができるよう、実証事業をサポートしていく考えです。