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セミナーレポート
IT Initiative Day Vol.30 システムズは、5月29日(水)に東京のベルサール新宿グランドコンファレンスセンターで開催された「IT Initiative Day Vol.30 ビジネスプロセスとシステムの『リ・デザイン』戦略」(主催:翔泳社)に参加しました。 副題にもある通り、今回のセミナーは旧来型の組織やビジネスルール、プロセスを変革し、企業システムの姿に反映させることがテーマとなりました。システムズからはマイグレーション事業本部担当部長の中本周志が登壇し、レガシーシステムのマイグレーションに長年取り組んできた当社の視点から、システムの再設計にあたる前段階として「現行システムの棚卸し」が極めて重要なプロセスであること、またそれを行うためにどのような手法が必要となるのかを解説しました。 一般に「マイグレーション」と言うと、メインフレーム上で動作しているレガシーシステムをオープン系システムに移行することを指す場合が多いですが、実際の現場ではその実現のためにさまざまな手法が用いられています。例えば、プログラムコードの変更がないか非常に小さい手法としては、エミュレータや仮想化技術を利用して、機能や言語は従来のシステムのままプラットフォームのみをオープン系システムに移行する「リホスト」や、旧来のプラットフォームは残したまま、フロントエンドのインタフェースのみWebブラウザなどに変更する「リインタフェース」などがあります。また、パッケージやSaaS型のシステムを導入し、業務プロセスもそれにマッチした形に変更する「リプレイス」や、スクラッチでシステムを新規開発する「リビルド」も、場合によっては広義のマイグレーションに含まれることがあります。
これらに対し、当社が得意としている手法の「リライト」は、いわゆる4GL(第四世代言語)で書かれたプログラムをオープン系COBOLやJavaなどに書き換えることを指しています。言語の変更がともなうためリホストやリインタフェースに比べると手間はかかりますが、一から作り直すリビルドに比べると開発もテストも低コストで、なおかつレガシーなプラットフォームを撤去できるためマイグレーションの本来のメリットを十分に享受できます。 今回のセミナーでは、マイグレーションにはこのようにさまざまな手法があることを理解いただいたうえで、手法を選ぶ前提として、現行システムに対するアセスメントが重要になることを説明しました。 「システムのリ・デザイン」を行う背景には、レガシーからオープンへという技術の大きな流れがあるのは当然ですが、それ以前に、今までのシステムを見直す必然性がどこにあるのか、本来の「あるべきシステムの姿」はどのようなものか、より広い視点から考え直す必要があります。例えば、中長期的な投資計画との整合性や、法改正への対応、現行システムにおける機能的な過不足など、システムにまつわる経営的な課題は無数に存在しているはずで、それらは単にプラットフォームを載せ替えただけでは解決しません。 あるべきシステムの姿に行き着くためには、その姿と現状とのギャップがどこにあるのかを知ることが必要です。「仕様書が最新でない」「更新履歴が管理できてない」「プログラムが利用されているのか把握できていない」「機能的に重複したプログラムが存在する」……"増改築"を長年繰り返してきたことで、企業システムの内部にこのような状態が生まれることはままありますが、十分に現状の分析をしないままマイグレーションにとりかかると、移行後のシステムも問題を抱えたままになりかねません。
当社が行うシステムのリ・デザインでは、「業務」「機能(アプリケーション)」「処理(データ)」の3つの観点で、レガシーシステムの可視化を実現します。このうち、業務の視点からの分析では、実際の業務プロセスのヒアリングや、既存ドキュメント等の調査といった、コンサルティングを通じての情報の整理を行っています。 それに対して、機能および処理の視点からの分析では、プログラムやJCL(ジョブ制御言語)を機械的に解析する当社独自のツールを用いて、ソースやデータ構造に関するさまざまな情報をリポジトリ化します。このツールは、市販CASEツールや自動ドキュメント作成ツールなどとは異なりお客様の要件にあわせてカスタマイズして適用するものなので、現行システムの機種や言語を選ばず、事前にプログラムに手を加える必要もありません。セミナーでは、実際にツールの実行画面を動画でデモンストレーションしたほか、ヒアリングや解析を通じて当社からどのような可視化資料をご提供できるのか、サンプルをご紹介しました。
このような「棚卸し」作業で得られた情報は、移行作業の技術的な難易度の検証や、マイグレーション手法選択の手がかりにできるだけでなく、人材のアサインや運用の引き継ぎといったシステム周辺の人的リソースの課題解決にも役立つほか、マイグレーション後の変更履歴を管理するためのベースにもなるなど、さまざまな副次的メリットをもたらします。セミナーの結びでは、「現状を可視化した上で、あるべき姿との間のギャップを埋める」という考え方の重要性を再度強調し、まとめとさせていただきました。 「クラウド」や「ビッグデータ」のような話題性のある技術キーワードとは異なり、「マイグレーション」に注目するユーザーやITベンダーはあまり多くないと思われますが、今回のセミナーを通じてマイグレーションとは何か、そしてレガシーシステム可視化の重要性について、少しでも理解が深まれば幸いです。マイグレーションに関するより具体的な技術や、当社がご提供可能なサービスについてご興味のある方は、当社が開催する無料の定例セミナーで詳しく紹介していますのでぜひご参加ください。 |
プログラム
イベント名 | IT Initiative Day Vol.30 ビジネスプロセスとシステムの「リ・デザイン」戦略 |
日 時 |
2013年 5 月 29 日(水)13:00〜17:20(12:30〜受付開始) (システムズの講演は、15:40〜16:20) |
会 場 |
ベルサール新宿グランド コンファレンスセンター[会議室]G+H |
JR山手線 五反田駅西口下車 徒歩10分 東急池上線 大崎広小路駅下車 徒歩8分 |
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主 催 |
株式会社 翔泳社 |
協 賛 |
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 |
参加料 |
無料(事前登録制) |
■セミナーに関するお問い合わせ
株式会社システムズ 開発事業本部 (システムズのホームページはこちら→)
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