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セミナーレポート

オープンソース活用でコスト削減とシステムの透明化を
「Red Hat OSS Integration Center/OSSパートナーセミナー」

〜 OSSを活用したマイグレーションや、クラウド対応のノウハウを一挙公開 〜

システムズは12月4日、東京・恵比寿のレッドハット株式会社にて同社が開催した「Red Hat OSS Integration Center/OSSパートナーセミナー」に共催社として参加しました。

レガシー化・ブラックボックス化した企業の情報システムを、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用して更新する事例が増えています。従来、OSSはWebサービスや業務システムのフロントエンドに用いられることが主でしたが、ミドルウェアやアプリケーションが充実してきたことや、OSS自体の信頼性向上などを背景に、最近では基幹システムへの適用も広がりつつあります。今回のセミナーでは、既存システムのOSS化と、それに関連したクラウドへの対応、データベースの移行などについて、レッドハット、当社、そしてPostgreSQLのスペシャリストである株式会社SRAならびにSRA OSS, Inc.日本支社が事例やノウハウを紹介し、OSSを活用した現代的な情報システムの姿を描きました。

JavaアプリケーションサーバのJBoss移行でクラウド対応を実現

中本周志
RedHat株式会社
岡下浩明 氏

セミナーの第1部では、クラウドのメリットを最大限に発揮する基盤として、レッドハットの岡下浩明氏がOSSのJavaアプリケーションサーバ「JBoss」と関連ソリューション、そして従来の商用アプリケーションサーバからの移行方法などを紹介しました。

Red Hat Enterprise Linuxの強みのひとつとして、物理環境、仮想環境、クラウドといったどの環境でも、JBossという共通のアプリケーションサーバが動作することが挙げられます。クラウドの最大のメリットのひとつが、負荷に応じてリソースを増減できる柔軟な拡張性です。しかし、アプリケーションサーバ自体は数を増やすことでパフォーマンスアップを図れるものの、データベース側の処理がボトルネックとなることで、実際にはアプリケーションサーバを増やしても性能向上が頭打ちになるという問題が存在します。レッドハットでは、この問題に対して、データをグリッド状のキャッシュに保持する「JBoss Data Grid」と呼ばれる製品を用意しています。同社では、JBossへの移行やシステムのクラウド化に関して、開発・実装だけでなく戦略策定・運用管理の段階についてもコンサルティングサービスを提供しており、OSSを利用したクラウド時代のIT環境の構築を支援しています。

ブラックボックス化の解消とOSSを活用したレガシーマイグレーション

中本周志
マイグレーション事業本部担当部長
担当部長 中本周志


続く第2部では、当社マイグレーション事業本部担当部長の中本周志より、レガシーシステムで発生しがちなシステムのブラックボックス化とその解消方法、OSSを活用した既存システムのマイグレーションについてご説明しました。

汎用機を中心とした情報システムや、古いWindows NTサーバ、商用UNIXサーバなどに構築されたシステムでは、ユーザーである企業自身が自社のシステムの中身を把握しきれなくなる「ブラックボックス化」とも呼ぶべき問題がしばしば発生します。情報システムのニュースサイト、@IT(アットマーク・アイティ)の読者を対象に今年6月に行った調査では、現行システムのブラックボックス化を認識しているとする回答が全体の57.1%、汎用機ユーザーに限ると76.6%に上っており、自社のシステムを隅々まで熟知しているユーザーのほうが少ないという結果が出ています。

ブラックボックス化の代表的な要因としては、仕様書やマニュアルなどのドキュメントがないこと、長年改修を重ねてきたことによるシステムの大型化・複雑化が挙げられます。当社が見てきた実際の例としては、仕様書の更新が十分行われないまま、システムの開発・保守を委託していた業者が倒産してしまったケースや、外部業者の中で特定の担当者に保守作業が属人化しており、大幅な改修も、他業者への引き継ぎも困難な状況に陥っていたケースもありました。結果として、ビジネスの変化に対して迅速な対応が行えなくなるため、企業経営そのものに悪影響を与えることとなります。

情報システムのライフサイクルでは、構築段階に最も多くの人員が投入されますが、稼働後、安定的な動作が確認されると担当人員は少なくなり、運用スキルが特定の担当者に集中する傾向にあります。少人数で運用できているという点でコスト効率は高いですが、その担当者もいずれ異動や退職でいなくなります。このような経過をたどるため、ブラックボックス化はシステム更新時になるまで表面化しにくいという問題があります。


トラブルの少ない運用フェーズでは最小限の人員で保守が可能なことが多いため、ブラックボックス化は本質的に顕在化しにくい特性を持っている

当社はプログラムの変換技術を強みとするマイグレーションベンダーですが、このようなブラックボックスの事例に直面することが多いことから、まずはそれを解消するため、移行作業に入る前の「システムの棚卸し」にも重点を置いています。現行システムのソースコードやデータ構造を、業務・機能・データの3つの視点から解析し、IT資産のドキュメント化、リポジトリ化を行うことによって、システムの再構築に最適な手法の検討や、移行性の検証に役立てます。

そのような検討プロセスを経た後、移行先のプラットフォームとして選択されることが増えてきたのが、Red Hat Enterprise LinuxをはじめとしたOSSです。汎用機で動作していたCOBOLのプログラムを、JavaやOpenCOBOLにリライトし、JBoss上で動作させることにより、プラットフォーム部分のコストを大幅に削減することが可能です。また、商用UNIXが動作するサーバからLinuxサーバへのマイグレーションといったケースも一部では登場しています。


汎用機のアプリケーションをOSSプラットフォーム上へマイグレーション。このほか、商用UNIXからLinuxへの移行も

現在取組中の事例としては、NEC ACOS-4や、IBM z/OS上で動作しているプログラムを、仮想マシン上のRed Hat Enterprise Linuxの環境へ移行するといったものがあります。いずれも、旧来のホストを撤廃することが目的で、スクラッチでの新規開発よりもコスト的に有利なリライト型のマイグレーションを選択。環境に依存した仕様のCOBOLプログラムを、オープン系のCOBOLへと変換することで、業務に影響を与えることなくプラットフォームのOSS化を実現します。

しかし、単純にプラットフォームだけをOSS化しても、ノウハウ継承の仕組みが構築されていないと、いずれブラックボックス化の問題が再び発生します。繰り返しになりますが、まずは既存資産の棚卸し・可視化を行い、ブラックボックス化を防ぐための組織的な対策を立ててからマイグレーションの検討に入るべきです。これは、OSSを採用する場合も、商用システムを導入する場合も共通して重要なポイントと言えるでしょう。

OSS移行におけるPostgreSQL活用の意義

中本周志
SRA OSS, Inc. 日本支社
高塚遥 氏

セミナーの第3部では、OSSの代表的なデータベースであるPostgreSQLに関連したコンサルティング、ソフトウェア開発を行っているSRA OSS, Inc. 日本支社の高塚遥氏が、OracleデータベースからPostgreSQLへの移行について現在の動向とノウハウを説明しました。

PostgreSQLを活用する最大のメリットはコストで、ライセンスコストはゼロのため、外部業者にサポート費用を支払っても、代表的な商用データベースであるOracleに比べると大幅に安くなります。また、特定のベンダーに依存して他の選択肢がなくなると、価格決定権がベンダー側に移ってしまうので、そのような囲い込みに遭うのを防止する目的でもPostgreSQLのようなOSSの導入は有効です。データベースマネジメントシステムのライセンスが高価格化傾向にあることからか、PostgreSQLへの関心は高まっており、データベース移行の需要は今後より広がっていく可能性が考えられます。

レッドハットは2013年9月、OSSによって企業システムのモダナイゼーションを推進する「Red Hat OSS Integration Center」を開設しました。システムズは、SRAほか各社とともにパートナー企業として同センターに参画し、OSSプラットフォームの活用によるコストダウン、情報システムの透明化を支援していく考えです。

開催概要


13:30 【受付開始】
14:00〜14:10 セミナー開催ご挨拶 〜 当日のアジェンダ説明
14:10〜14:55

『すぐに始めようアプリケーションのクラウド対応』

オンプレミス環境ではWebLogic/Webspher等の商用アプリケーションサーバが非常にポピュラーです。しかしながら、アプリケーションのクラウド対応を行う上でこの商用アプリケーションサーバが大きな障害となっている場合も珍しくありません。
このセッションではクラウドレディなアプリケーションサーバであるJBossへWebLogic/Webspherで動くアプリケーションのマイグレーションについて紹介します。NTT OSS Center様が開発した「TSUBAME」、レッドハットが提供する「Windup」等のマイグレーションツールを活用した移行のポイントを事例を交えて解説いたします。

RedHat株式会社
岡下 浩明 氏

15:00〜15:45

『OSS活用本格化時代のマイグレーション最新アプローチ
  〜 ブラックボックス化解消からOSS環境移行事例』

レガシー化した基幹システムの再構築問題に対して「ITモダナイゼーション(=近代化)」の様々なアプローチがありますが、本セミナーではその活用が本格化しつつあるOSSに注目しマイグレーションプロバイダとして実際に行ってきたLinux OSや JBoss基盤へのマイグレーション(移行)手法や、最新OSS移行事例などをご紹介いたします。

株式会社システムズ
マイグレーション事業本部 担当部長 中本 周志

15:45〜16:30

『Oracle DBからPostgreSQLへの移行』

オープンソースデータベースで本格的な機能を備えており、利用が拡大しているPostgreSQLをご紹介します。近年コスト面やベンダーロックインの回避から、商用データベースからオープンソースデータベースへのマイグレーションが注目を集めています。
当セッションでは、Oracle からPostgreSQLへのマイグレーション時の留意点とSRAグループがこれまでご支援させていただいた事例をご説明させていただきます。

株式会社SRA / SRA OSS, Inc. 日本支社
高塚 遥 氏

16:30〜 質疑応答/システム再構築に関するご相談 等承り

 

■セミナーに関するお問い合わせ
株式会社システムズ 開発事業本部 (システムズのホームページはこちら→)
TEL 03-3493-0032(ダイヤルイン)
受付時間 9:00〜17:45(土・日・祝日を除く)
FAX 03-3493-2033(24時間受付)