迫り来るWin7/Win2008サポート終了!老朽VBアプリ資産の移行は?
VBモダナイゼーションによる.NET移行をデモと事例で紹介
システムズは9月7日(金)に東京・品川区のシステムズ本社セミナールームにて、「迫り来るWin7/Win2008サポート終了!老朽VBアプリ資産の移行は? VBモダナイゼーションによる.NET移行をデモと事例で紹介」と題したセミナーを開催しました。2020年にサポート終了を迎えるOS「Windows7/WindowsServer2008/R2」の移行をテーマに取り上げた本セミナーには、蒸し暑く残暑の厳しさを感じる気候の中にもかかわらず、沢山の方にご来場いただきました。改めてお礼申し上げます。
司会・進行を担当した当社の中本周志
開発事業本部の中本周志から開会のあいさつとして、「創業50周年を迎える当社は、メインフレームのモダナイゼーションから始まり、本日のテーマであるWindowsレガシーに関わるVBマイグレーションでは10年以上の実績がある。特に、リライトと呼ばれるプログラム変換を得意としており、国内外の18の特許を所有している」と当社概要を説明しました。また、Windowsサーバの延長サポート終了前であるこの時期に、ぜひ余裕をもってソフトウェアを新しい環境に移行していただきたい」と提案し、本セミナーのスタートとなりました。
セッション1、2を担当した板倉利幸
セッション1では開発事業本部の板倉利幸が、VBモダナイゼーション編として、「迫る!Windows7サポート終了 やるなら今!VB6.0アプリ資産モダナイゼーションの勘所」をテーマに展開しました。
「Windows7、WindowsServer2008のサポート終了まで1年半を切り、ここ2年くらいは本当に多くの客様からご相談をいただいている。その中でもVisual Basic 6.0(VB6.0)やVB5.0のアプリケーション移行についての相談が特に多く、その課題となるのはハードウェアの老朽化、OSのサポート切れ、システムのブラックボックス化、技術者の確保の難しさなどが挙げられる」と現状を語った上で、VBモダナイゼーション需要の波が、今まさに来ていることを強調しました。また、システムに移行する際は当社をはじめ経験のある会社にぜひ相談をしてほしい、そして要員確保の上でも早めの対応をしてほしいと提案し、VBアプリケーションを移行していく際の具体的な説明に移りました。
「元々VB6.0のアプリケーションはWindows XPやWindows Server 2003で動かすために造られたものが多く、最近のOSで正式にサポートされているわけではない。今後VB6.0を使い続けていくことは非常に厳しい状況だ」と話した上で、OSと.NET Frameworkのバージョン比較やサードパーティ製品のバージョン比較などを説明しました。さらに、VB6.0から最新の.NET 2017や.NET 2015にアップグレードする際には、VB6.0のアップグレードウィザードはVB.NET 2003〜2008のみ対応のため、一度.NET 2008にバージョンアップさせたものをもう一度アップグレードした上で.NET 2017や.NET 2015に段階的アップグレードする必要があり、その様子をデモンストレーションでも解説しました。
またサードパーティ製品のアップグレードについては、場合によって移行コストが多くかかることや一部使えない機能があること、アップグレードウィザードにおいてはエラーやワーニングレポートに出力されない隠れた不具合があることなどを話し、その上でシステムズがどのようにモダナイゼーションにアプローチしているのか、資産可視化、環境構築、調査・分析、変換設計、パイロット変換・テスト、変換・修正、比較検証テスト、運用テストなどを踏まえながら運用開始に至るまでの工程を説明しました。
特に、モダナイゼーションの大きなポイントでもある変換作業については、デモンストレーションを行い、実際にどのような変換処理が行われているかや、変換前と変換後におけるプログラムの変化なども紹介し、受講者の中にはメモをとる方、深く頷いている方も見受けられました。
最後に当社の品質の確保の方法として、変換パターンチェック、画面項目のチェック、出力データのチェック、シナリオチェックという4つのテスト手法を用いていること、さらにVBモダナイゼーションの成功事例などを紹介し、知識や経験のあるベンダーと共にモダナイゼーションを成功していただきたい、と語りセッション1は終了しました。
セッション2も引き続き開発事業本部の板倉が担当し、DBモダナイゼーション編として、「注目度が高まる商用データベースからOSS-データベースへのモダナイゼーション コスト負担の高い商用DBの保守料削減を実現するには…」をテーマに展開しました。「ここ2年ぐらいは5~6件に1件ぐらいの割合で商用のデータベースからオープンソースのデータベースに移行していきたいという相談が増えてきた。具体的にいただく相談のほとんどはOracleデータベースからの脱却であり、その最大の理由は維持コストの高さとベンダーロックインの回避である。また、主な移行先にはPostgreSQLを希望するお客様が多い」と背景を語り、一方で、OracleからPostgreSQLに移行する際の注意点として、「Oracleのコンピューター言語であるPL/SQLで使用できる関数のうち30%はそのまま使うことができるが、70%程度はPostgreSQLでサポートされている言語PL/pgSQL向けに変換が必要となり、中にはその関数がないものある。そのため、数が多いほどテスト工数が増大する傾向にあり、DBの移行だけでコストメリットを出すことは難しい」と語り、当社ではシステムモダナイゼーションと並行したDBモダナイゼーションを提案しており、それらを同時進行で行うことで、移行トータルコストの減少、ランニングコストの削減、ベンダーロックインの回避などが実現できる、とメリットを説明し第2セッションは終了しました。
セッション3を担当した石川嘉士
ラストとなるセッション3では準備的モダナイゼーション/レガシー総合診断編として「Windowsレガシー資産再構築を進めるには既存資産の可視化から~ レガシーシステム総合診断で準備的モダナイゼーションへ」というテーマで開発事業本部石川嘉士がマイクをとりました。
システムのブラックボックス化、スパゲティ化といったレガシーステムに関する悩みに対して安易にモダナイゼーションを始めようとしていないか、と石川はまず参加者に質問を投げかけました。「モダナイゼーションにあたり、気をつけなくてはいけないポイントが、過去の経験やモダナイゼーションのさまざまな事例に関与した長い歴史から我々は分かってきている。大事なことは現行システムの調査である」とし、(1)現行資産の整理・棚卸、(2)業務上での運用・利用状況、(3)業務知識の継承状況、(4)保守状況、(5) 他システムとの連携、(6)性能・セキュリティ・拡張性、の6つの現行システム調査を説明し、モダナイゼーションを行うならば、必ず行ってほしいこととして(1)の現行資産の整理・棚卸を挙げました。「他の要素ももちろん大事だが、とくに(1)は見積やスケジュールを出す際にも欠かせない要素であり、ここが明らかにならないモダナイゼーションは高い確率で失敗する」と警鐘を鳴らしました。
また、今後、攻めのIT投資をしていくのならば、現場だけに託すのではなく経営者も課題に関与し、また経営者が先頭となって改革を推進していってほしいと提案しました。特に現場の課題を可視化することが重要で、一般的に経営層からトップダウンで策定されるTo Beモデルが下りてきても現場はその他の課題に忙しく、マネジメントと現場にギャップが生まれやすい。一方で、問題は現場のほうに溜まっていることも多く、真の課題発掘の重要性として現場の分析、資産の可視化によって策定するCan Beモデルを提案しました。このCan Beモデルこそが、当社が提供するIT総合診断であり、To Beモデルを大前提とした、「可視化サービス」、「診断サービス」、「改革支援サービス」といった3つのステップから成り立っていると説明しました。
最後にIT総合診断事例として、総合診断により2400Kステップのうち有効資産が元の56.1%であることが分かり見積金額が当初の半分となったITサービス業や、パッケージソフトの中の機能を4%しか利用しておらず、最適なパッケージの選定・導入や、業務手順の見直しによりランニングコストを削減した不動産仲介業、自社システムを多数持っているが、一部が老朽化しており、システムの可視化や一般的なプロセスフローの定着化を今まさにサポートしているハードウェア販売店などの例を紹介し、最後のセッションは終了となりました。
セッション3終了後は、セミナー参加者への質問コーナーも設け、モダナイゼーションに関するさまざまな質問が飛び交う有意義な時間となりました。
参加者の質問に答える板倉利幸
質疑応答後、それぞれのプロジェクトマネージャーや担当者などが同席し、受講者からの質問や相談に個別でも応対させていただきました。熱心な参加者の相談に、セミナー終了後も会場は熱気に包まれていました。
今回は残念ながら都合のつかなかった方や、今回のセミナーの内容に興味を持たれた方は、ぜひ、当社までお気軽にお問い合わせください。
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