「DX推進/2025年の崖問題とWin7/Win2008サポート終了を見据えたモダナイゼーションによる解決シナリオとは?」
セミナーを開催
~ 老朽化・肥大化したレガシー資産の可視化からVB資産の移行活用まで ~
システムズは、7月17日(水)に東京・品川区のシステムズ本社セミナールームで、「DX推進/2025年の崖問題とWin7/ Win2008サポート終了を見据えたモダナイゼーションによる解決シナリオとは?」~ 老朽化・肥大化したレガシー資産の可視化からVB資産の移行活用まで ~ と題したプライベートセミナーを開催しました。長雨もこの日は小休止、多くの方にご参加いただき、盛況裡に終えることができました。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の動きが活発化しています。またその一方で、2020年1月に延長サポートが終了するWindows7/WindowsServer2008 R2で構築されたオープンレガシーシステムをどうするのか、といった課題が情報システムの現場では顕在化しています。今回のセミナーでは、今、最もホットなこの2つの話題をテーマに取り上げました。
司会・進行を担当した
中本周志
開催に当たって、当社の事業推進室 マーケティング・ディレクターの中本周志から、創業50年の当社のモダナイゼーションの豊富な経験や技術力に関する紹介があった後、「資産一覧表など豊富な資料を閲覧用に用意している、移行の際に使用する調査シートも参考資料としてお持ち帰りいただきたい」と当社独自の資料について触れました。
DXの概要を分かりやすく解説した
大島理史
今回のセミナーは3つのセッションで構成されています。トップバッターとして登壇した当社の開発事業本部 ソリューション開発グループ プロジェクトマネージャーの大島理史は、「DX推進、レガシー脱却に向けた現状把握・将来計画の策定法」というテーマで、まずDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何かを、DXレポートの内容を紹介しながら解説しました。
2018年9月に経済産業省はDXレポートを、同年12月には「DX推進ガイドライン」を公開しています。大島は、DXの実現により2030年には実質GDP130兆円超の押上げが実現され、IT予算比率やIT人材平均年収、IT産業の年平均成長率などに大きな伸びが期待される一方、DXが実現できない場合は、日本全体で毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある、とDXレポートの指摘を紹介しました。続いて、ITシステム「2025の崖」について解説、放置した場合の最悪のシナリオとして、システムの維持管理費が高額化し9割以上を占めるようになる、保守運用の担い手が大量に不足するなど、予測されるリスクを挙げました。
では、DX推進の阻害要因は何なのか。大島は、いくつかの資料から、さまざまな業種で多くの企業がレガシーシステムを抱えており、7割の企業がそれをDXの足かせだと感じていること、運用・保守費9割以上の企業が約4割を占めること、運用・保守が属人化し継承が困難だと考える企業が6割以上に上っているといった問題点を挙げました。そして、既存システムがブラックボックス化している認識があってもシステム刷新が進まない現状を指摘、システム刷新を決断するためには、何よりも現状分析が大切であると強調しました。さらに、現状分析においては、機能ごとに4象限で評価し再構築をプランニングすることが望ましいが、「機能縮小・廃棄」がどの企業においても難しいこと、資産棚卸はオープン系とホスト系でどう捉えるべきか、といったポイントを紹介して、次のスピーカーにマイクを渡しました。
第2セッションを担当した
石川嘉士
続いて、ソリューション開発グループ チームリーダの石川嘉士が、最初のセッションを受け、「DX推進に不可欠なICT現状分析 具体的な取り組み内容と活用方法とは」~デジタルトランスフォーメーションの実現はIT総合診断でスタート~というタイトルで解説しました。
石川は、OSサポート切れ、ハード保守切れ、コスト削減、ブラックボックス化といったモダナイゼーションのきっかけとなる課題を挙げた後、当社の可視化サービスの歴史を振り返り、モダナイゼーションを始める前にやっておくこととして、まず現行システムの調査を挙げました。現行資産の整理・棚卸はもとより、業務上での運用・保守の状況、他システムとの連携なども必要だとし、VBモダナイゼーションで必要な可視化情報の例として、言語の種類とバージョン、プログラムソース一覧、規模(STEP・画面・帳票数)、使用しているコントロールの種類、サードパーティ製品の種類とバージョンなどを挙げました。
また、IT部門だけでなく経営者も関与してシステムの現状と課題を共有することが必要であるとし、ITによる業務改革アプローチについて紹介しました。攻めのIT投資は現場の課題の可視化が不可欠であり、そこから今後の最適なIT戦略を提案するのが、当社の「IT総合診断」です。石川は、このサービスとDXの戦略立案への道のりとの類似点を紹介しながら、IT総合診断の「可視化サービス」、「診断サービス」、「IT計画策定支援」の3つのサービスの概要を、デモを交えながら説明しました。最後に、ITサービス業、不動産仲介業、印刷業における事例を紹介し、このセッションを終了しました。
VBモダナイゼーションを解説した
板倉利幸
最後のセッションは、ソリューション開発グループ プロジェクトマネージャーの板倉利幸が、「迫る!Windows7 & Windows Server 2008 サポート終了 やるなら今!VB6.0アプリ資産モダナイゼーションの進め方」という演題で登壇しました。
板倉は冒頭、「2005年にVB5.0からVB.NETへの移行サービスを開始し、2013年からVB6.0からVB.NETへの移行案件が増えたが、ここ2年くらいは特にお問い合わせが増加している」と話しました。
当社に多く寄せられるお客様の課題として、ハードの老朽化、技術者確保が困難、セキュリティリスクの増大、システムのブラックボックス化などが挙げられます。板倉は、「最近はレガシーC/SシステムからWebシステムへの移行の相談もここにきて目立っている」と話し、概要を紹介しました。C/SレガシーWeb化マイグレーションの概要については、https://www.migration.jp/menu/migrate-web/ をご参照ください。
このあとVBアプリの移行手法について解説、VB6.0からVB.NET2017にはストレートにアップグレードを行えないため、2段階のアップグレードが必要となること、また、共通プログラム群の仕様が異なるため、さまざまなエラーが発生することなどを指摘し、バイト数を取得する「LenB関数」を例に、アップグレードウィザードを使った変換デモを紹介、VBでは使えていた関数が.NETでは使えずエラーが出るため、「GetByteCount」に書き換えを行う必要があること、また、これ以外にエラーでは出力されない隠れた不具合も多く存在することを強調した後、これを実際に変換すると少ないもので3,000件、多いもので175,000件ものエラーが発生したという事例を紹介、当社が開発した変換ツールでこれを機械的に処理することで変換効率を飛躍的に高めることができることを説明しました。
最後に、テスト手法についても触れました。「モグラたたきのテストでは品質低下を招く」とし、当社の品質確保の手法として、変換パターンチェック、画面・帳票項目チェック、出力データコンペア、シナリオチェックの4つの比較検証テストについて概説、テスト工数を大幅に削減して効率化を高めつつ、高品質を確保していることを強調して、セッションを終えました。
休憩時間には、会場後方のテーブルに用意した資料を熱心に閲覧する受講者の姿が目立ちました。また、終了後は、講演者に個別に問い合わせをする光景も見られました。当社では、こうした旬の話題をテーマにしたプライベートセミナーを開催しています。7月26日には大阪で、9月には東京で開催を予定しております。
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