クラウドマイグレーション ユーザー事例セミナー
「ホームセンターグッデイ様事例に学ぶ!
AWSからGoogleまで、クラウドを活用した
オンプレサーバー・DB移行最前線」を開催
システムズは、1月22日(金)に、Webセミナー「ホームセンターグッデイ様事例に学ぶ!AWSからGoogleまで、クラウドを活用したオンプレサーバー・DB移行最前線」を開催しました。最近、オンプレミスシステムのクラウド移行、AWS活用といった動きが活発化しています。こうした状況を受け、今回は、ホームセンター・グッデイを展開する株式会社グッデイ様(本社・福岡市)の最新事例をご紹介する事例セミナーとして開催、同社が実際に経験されたクラウド活用法からデータ活用推進のための教育体制までをお話しいただきました。
開催に先立って、当社のビジネスイノベーション本部 ビジネスプロモーション部部長の板倉利幸から、50余年の伝統と100以上のモダナイゼーション実績を持つシステムズの事業概要や領域について紹介させていただき、セミナーを開始しました。
当社の板倉利幸
最初のセッションは、「オンプレサーバー・DBのクラウド移行 最新動向」というテーマで講演しました。引き続きマイクを握った板倉は、冒頭、多くの企業がコロナ禍で緊急的にテレワーク環境を構築したほか、自然災害も増加しており、物理的制約にとらわれない柔軟な働き方が求められているとし、経営投資の判断軸も情報システム部門の働き方も変わっていくと話しました。しかし、企業のシステムには保守的な役割が多く残っていること、デジタル化の進展に対する意識調査では、7割の企業が「レガシーシステムがDX(デジタルトランスフォーメーション)の足かせになっている」と感じていること、などを紹介しました。
また、こうした状況を打破し、DXを推進するには、まずは現在のシステムや資産を調査、情報収集し、それをもとにIT戦略のロードマップを立案し、新規デジタルサービス構築や既存システム活用、外部サービスの活用などにより、DX実践に備えていくことが大切であると話しました。
ここで本日の受講者に、自社(ITベンダーの場合は顧客)でのデータ活用状況についてリアルタイムアンケートを実施、「様々なデータを蓄積しているが、分析/活用ができていない」との回答が半数近くを占めました。
引き続き板倉は、「当社の問い合わせや受注案件もすでにオンプレへの移行ではなくなっており、クラウド移行は必須の選択肢だ」と前置きし、変化に強い環境へのバージョンアップについて、オンプレとクラウドそれぞれが担う役割を紹介しながら解説しました。
また、移行コストの最適化の提案をした最新事例も紹介、このほか、DBマイグレーション(OracleからPostgreSQLへの移行)やVBマイグレーション(2000Kステップを超える大型基幹システム)の事例なども紹介して、セッションを終了しました。
移行事例を紹介した光嶋 章氏
引き続き、後半のセッションが行われました。最初の講演「ホームセンター・グッデイにおけるクラウド移行事例」を担当したのは、嘉穂無線ホールディングス株式会社 システム部長で株式会社カホエンタープライズ 最高執行責任者(COO)の光嶋 章氏です。まず、嘉穂無線ホールディングスは、経営企画・総務・経理といった本社機能を兼任する持ち株会社で、3社ある事業会社の1つが、グループ全体の売上の9割を占めるグッデイであること、昨年度売上約320億円の中堅ホームセンターとして、北部九州・山口に65店舗を展開していること、といった企業概要紹介がありました。
この後、本題に入り、グッデイの基幹システムの概要を紹介、本部のシステムと仕入れ先とはEDIで接続、また65店舗に店舗システムがあること、2014年からクラウドサービスを徐々に活用するようになったが、本部サーバーのDBは現在まだオンプレで稼働しており、AWS RDSに移行準備中であることなどが説明されました。
店舗DBは、Oracle DBからAWS RDSに移行、現有要員で業務の傍ら店舗ごとに順次移行作業を実施し、準備期間のプログラム修正を除いても3~4カ月かかりました。自社社員がリーダーとなり進めた移行作業は、専任のプロジェクトチームもなければ専任者もおらず、長期間に渡って地道に進めました。光嶋氏は苦労した点を語る一方、新技術が出てきたらすぐに試せる、使った分だけしか費用がかからず気軽に試せるといったメリットについても紹介し、その後、コロナ禍に見舞われ、結果的にリモートワークに大変役立った、と付け加えました。
光嶋氏はこの後、クラウドとリモートデスクトップについて触れ、「Google Workspaceを導入していたため、VPNなどの準備も必要なくすぐにリモートデスクトップを使用開始でき、テレワークに迅速に移行できた」と話しました。在宅勤務推進で本部は3割以下しか出社できないルールの中、コロナ感染拡大以前からオンラインでの情報共有、会議やチャットにも慣れていたため、リモートワークでスムーズに業務が進められている点を強調し、次の講演者にバトンタッチしました。
データ活用について講演した宮田和三郎氏
後半を担当したのは、株式会社カホエンタープライズの最高技術責任者(CTO)である宮田和三郎氏で、「ホームセンター・グッデイにおけるデータ活用」という演題で話していただきました。
宮田氏はまず、データ活用の目的について、意思決定支援(IT活用により店舗をもっと「人間的な場所」に)、コミュニケーションツールとして(必要な情報を円滑かつ迅速に必要な場所へ齟齬なく届ける)の2点を挙げて解説しました。また、データ分析や可視化を行うツール「Tableau」について触れ、チャットツールを使用して本部や店舗で分析結果を一斉共有している現状を説明しました。同社では、2015年4月からデータ分析のための組織・体制づくりを徐々に開始し、その後、社内環境の整備、社外への展開と、着実に準備を進めてきました。宮田氏は、組織づくりのポイントとして、データ活用のための方針明示、活用の意味づけ、「学ぶ」習慣作り、トライ&エラーの繰り返しなどを挙げました。
また、現場のビジネス部門のユーザーが分析をすることにこだわって体制を整備、例えば情報システム部門も、これまでのデータ抽出や分析役割ではなくビジネス部門のデータ活用を徹底的に支援する、という独自の分析体制について紹介しました。
データ活用を支えるシステムについては、まずクラウドDWHの構築を実施し、在庫、人事、会計、店舗のPOSデータなど、自社のシステムのあらゆるデータを収集、一元管理できるようにしています。DWHで一元管理するメリットとして、宮田氏は、様々なデータを組み合わせて分析ができるようになった点を挙げ、データ収集、組み合わせ、分析、行動といった流れを解説しました。
この後、データ活用教育についても触れ、段階的、継続的な勉強会を実施しながら社内でデータ活用のスペシャリストを育成し、その人がまた講師になるといった仕組みで、ツールの勉強会はもとよりデータリテラシー、財務会計、在庫管理からマーケティングまで、社内向けやバイヤー向けに様々な勉強会を実施していることを紹介してセッションを終了しました。
最後に質疑応答の時間が設けられ、システムズ側には「クラウド移行とオンプレ再構築での見積比較サービスはあるか」、「テレワーク+クラウド導入にも対応してもらえるか」、グッデイの事例に対しては、「AWSとgoogleクラウドの使い分けについて」、「情報システム部門でなくビジネス部門にデータ活用を主体的に実施してもらうための動機付けのコツ」ほか、多くの質問が寄せられ、それぞれの講演者が回答しました。
マイグレーションプロバイダである当社では、今後も引き続き、旬のテーマでWebセミナーを開催する予定です。次回は2月12日にレガシー化が進むオンプレサーバーやアプリにフォーカスしたセミナーをお届けします。ぜひお気軽にご参加ください。
緊急事態宣言下の開催であったが、勤務先からの受講が自宅のそれを上回った。
セミナー配信の様子
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