システムズのマイグレーションコラム
Vol.02 メインフレームのマイグレーションにおける手法
2015.5.29
リビルド
メインフレームからオープン系システムへとマイグレーションする手法のひとつとしてリビルド方式があります。 直訳が「再構築」ということからもわかるように、現行の業務仕様をもとにしてオープン系システム環境下に再び新たなシステムを構築する手法です。 オープン系言語によって、業務仕様やシステム構成を再設計、そして再構築します。 メインフレームからマイグレーションする手法として広く採用されているのもこのリビルド方式です。 このリビルド方式の課題としては、システムの最新・最適化を行うことができる代わりに膨大な時間とコスト、開発リスク 等 手間がかかってしまうということにあります。 そのため企業としてはマイグレーションのタイミングに頭を悩ませ、なかなか実行に踏み切れないということも起こっています。
リライト
リライトもまたメインフレームからオープン系システムへのマイグレーションの手法のひとつです。 このリライト方式は、現行のソフトウェア仕様(ロジック、データ)を維持したままで、メインフレームを撤廃し、オープン系システムの環境のもとにオープン系言語を用いてシステムを書き直す(変換する)という手法です。 オープン系言語への変換は、開発言語間での「非互換」の解消といった変換仕様作成上の課題はあるものの、データ構造、 ロジックなどはそのまま継承されることから、オープン系システムにマイグレーションする際にも既存のアプリケーション資産を有効活用することができます。 また、マイグレーション以後はシステムの環境が整備され、機能追加や改善等のシステム拡張が容易となるという利点もあります。 リビルド方式ほどではありませんがリライト方式を用いても、テスト工程を中心に移行期間は必要であり、特にユーザー側の情報システム部門に多大な負荷がかかってしまいます。
リビルドもリライトも移行作業に労力が必要
前述したリビルド方式もリライト方式もメインフレームのマイグレーションにおいて一般的に多く利用される手法です。 ですが、移行作業にかなりの労力が必要で、コストやリスクが想定されるものの、長年に渡る改修の積み重ねで既存システムがブラックボックス化。どのようにしてこうしたブラックボックス化したシステムの内容とコストやリスクを把握し、リビルド方式かリライト方式を採用するかという共通する課題を抱え、こういった可視化されていない既存システムの状況が高いハードルとなり、オープンシステムへのマイグレーションを決断できず指をくわえて見ているだけの企業も多々あるのです。 そこで、こういった課題に対応したリホストという方式も出現しました。この方式は現行システムをそのままの言語でオープンシステム上の仮想環境やエミュレータにマイグレーションするという手法で、リビルド方式やリライト方式よりも少ない労力、低コスト、低リスクでマイグレーション可能ですが、一方で他の2つに比べて柔軟性に欠けるという側面があります。これらの方式にはそれぞれ述べたような特徴・課題があることを理解したうえで最適な手法を選ぶ必要があります。