システムズのマイグレーションコラム
Vol.18 老朽化した基幹システムは今すぐ診断を (その3)
2017.04.24
深刻な現状は増改築を繰り返した旅館と同じ
前回ご紹介したとおり、肥大化・複雑化して手が付けられなくなってしまったレガシーシステムの状況は、まさに“増改築を繰り返してきた古い旅館”のようです。最初に構築したものに、さまざまな要件をむりやり後付けしたことで、効率も悪化しています。根本的な立て直しはせず、改装・改築・増築を繰り返すことで、旅館自体も肥大し複雑となり、悪循環から抜け出せません。システムにおいても、増改築を繰り返してきた今の状態のままベンダーに見積を依頼するから、どうしても高額なものになるわけです。
現場の可視化と診断でシステム化構想を立案
ある公共機関から当社に相談がありました。現行の基幹システムが古く、複雑化してきたためITベンダーに見積を依頼したが、膨大な金額になった、というものです。改修を繰り返し、当初の2倍の規模に巨大化したシステムは、随所に不要なソースが混在して複雑化しています。それを整理しないまま再構築すれば、初期構築時の見積を大幅に上回るのは当然です。適正なコストでシステムを再構築したいという要望はもっともなものです。
こうしたニーズに応えるべく、当社はこのほど「総合診断サービス」の提供を開始しました。いわば、ITシステム版の人間ドックのようなもので、システム資産解析やヒアリングなどの情報をもとに可視化を行う「可視化サービス」、それを分析・診断した結果をまとめたカルテを提供する「診断サービス」を提供。ここで早急に対応が必要な症状が見つかればFirst Aid(応急処置)も行います。きちんとメスを入れなければならないものについては「システム化構想」という形で、基本計画書を作成していきます(図)。ゼロからのITシステム構築と異なり、既存システムを活かす場合は、経営視点からだけのビジネスコンサルでは現場の課題が解決できず、システム再構築が失敗するケースがあります。
ブラックボックス化した企業システムのどの部分を活かし、切り捨てるのか……。こうしたシステムを見える化して建て直すことで、あるべき姿を取り戻すことを目的にしたこの新サービスには、レガシーシステムの可視化だけにとどまらず、業務のライフサイクル改善のために見える化してほしいといった依頼もあり、金融機関など多くの企業から反響をいただいています。
図 総合診断サービスの概要