システムズのマイグレーションコラム
Vol.17 老朽化した基幹システムは今すぐ診断を (その2)
2017.04.14
VBマイグレーションの相談が急増
予想を下回る動きしかないまま、火が消えたかのように見えたVBマイグレーションですが、ここに来て、多くの企業からの問い合わせが殺到しています(図)。そのきっかけとなったのはWindows 10の登場と普及です。「VB6はWindows 7で使用を止め、Windows 10に切り替える際にVB.NETに移行したい」という企業も増えています。また、延命したハードウェア機器も保守が切れる時期を迎えていることもあるでしょう。Windows Server 2003のサポート終了だけでは動きの鈍かった企業も、OSやハードウェアを切り替えるという理由であればIT投資がしやすいからです。付随するものも一緒に見直そう、というのが二度目の波を作っている要因となっているようです。
図 VBマイグレーション需要の波
オープンレガシー問題に隠れたリスク
再び訪れたVBマイグレーションのニーズですが、実際に相談を受けた企業に出向いて話を聞くと、単純なVBの移行の話だけでは済まないことが多くあります。それよりもずっと深刻な問題が後ろに潜んでいることが往々にしてあるからです。既存の基幹システムが、肥大化・複雑化して手が付けられない状況になっている、というケースに頻繁に遭遇するのです。
導入から長い年月を経た企業の情報システムは、幾度かのカスタマイズ、度重なる改修や機能強化などを行ううちに、パフォーマンスは低下し、不要なソースは増え続ける一方で、初期からの開発・運用メンバーも退職していく、といった既存システムのブラックボックス化問題を抱えています。システムの運用・維持だけに追われ、その場しのぎの修正や追加を繰り返してきた結果、会社の重要な資産である基幹システムのプログラムはスパゲッティ状態になっています。当初システムを熟知していた要員もいなくなり、何からやればいいのか、誰に訊いたらいいのかも分からないまま傍観するだけ、という負のスパイラルに陥っているわけです。こうしたケースは、実は想像以上に多いのです。せめて、開発当初からの仕様書や設計書などのドキュメント類をきちんと保管していれば、新しい担当者でも引き継げますが、これをルール化している企業は案外少ないようです。
(次回のコラムに続く)