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システムズのマイグレーションコラム

Vol.07 ITシステムのブラックボックス化はなぜ起こるのか

2015.11.10

作業の属人化やドキュメントの不整備

当社の関わったレガシーシステム見直しの中からいくつかの事例を紹介しましょう。ガス警報機器保守会社では、作業管理・在庫管理システム構築を委託したベンダが運用中に倒産し、ドキュメントもメンテナンスされないまま、業務変更に伴うシステム変更を続け、ブラックボックス化してしまいました。別の製造会社では、委託先の保守体制に問題があり、大幅な改修に対応できなくなったため、保守会社変更を検討しましたが、システムが属人化していて引継ぎすらできなくなってしまいました。また、ある建設・不動産仲介業者でも、保守作業が属人化してしまったことで保守効率の課題が表面化し、当社に現行システムの分析・可視化の依頼がありました。

ブラックボックス化の原因は何か

システムの知識や運用/保守ノウハウは特定のメンバーに集中しますし、また、保守効率を維持するため、ドキュメントのメンテナンスなどは形骸化していくケースが見られるようになります。レガシーシステムと呼ばれるものは、この期間が10年、20年、それ以上と長く続いているわけです。「必要最低限のことしかしない、できない」という中で、行き過ぎた属人化や際限なきコストダウンが続くケースが少なくありません。上記の事例を含め、当社には、「最後まで残っていた担当者が退職していなくなった、あるいは交代した」、「経営環境の変化によるシステムの大規模改修が必要になった」といった段階でのご相談が多く寄せられます。この時点で、ブラックボックス化が表面化、顕在化するわけです (図)。


ブラックボックス化に至るプロセス

ブラックボックス化の特効薬はない

では、「ブラックボックス化してしまったからシステムを刷新してしまおう」という単純な話ではありません。そもそも、これだけでは根本的な解決にならないのです。システムを一新すれば、開発時期に携わるメンバーは一時的に増えますが、時間が経てば、保守コスト削減などによって、同様の課題が発生するようになります。では、ブラックボックス化はどうしたら解決できるのでしょうか。残念ながら、「これを使えば、ブラックボックス化が直ちに解消できる」というツールがあるわけではありません。一口に言えば、「当たり前のことを当たり前にやっていく」しか方法はないのです。次回のコラムでは、そのヒントとなるような事例をご紹介しましょう。

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