システムズのマイグレーションコラム
Vol.12 システム資産可視化の必要性 -その1-
2016.02.28
「見える化」というキーワード
「見える化」というキーワードが一般的に使われるようになって早10年。もともとは自動車メーカーが製造現場の問題点を見えるようにする、という意味で使った言葉ですが、そのうち製造部門を持つ企業が作業情報を可視化し組織内で共有・把握する経営上の言葉として広く使われるようになりました。その後、営業部門や医療分野など、業種・職種を問わずさまざまなところで目にするようになりました。もちろん、ITシステムにとってもこの可視化は重要なキーワードとなります。本コラムでは3回にわたって「システム資産の可視化」についてご紹介していきます。
貴重なIT資産が危機に瀕している
現在、多くの企業が自社のITシステムの老朽化に頭を悩ませています。これまで多くのITプロフェッショナルの叡智や、膨大な開発費と保守費用を投じてきた自社システムの運用と維持には、さまざまな問題が付きまといます。ハードウェア、ソフトウェアの運用・保守コストや期限切れの問題はもちろん、ITスキルを持った要員の不足、高齢化に伴う退職など、人の問題も軽視できません。長年にわたってコストと人を費やしてきたシステムが危機に瀕しながら、何ら手を打てないまま今に至っているケースも決して少なくありません。事実、当社には、システムの老朽化の対策や、新規システムへの移行の問い合わせが後を絶たません。しかし、そうした企業に話を伺うと、「システムの中身がよく分からなくて手が付けられない」というのです。
自社システムの中身が見えますか?
長年にわたるさまざまな機能追加や改善要求によって、システムが複雑化、煩雑化してしまっている、つまりシステムがブラックボックス化し、特にプログラムはスパゲッティ状態になって「中身が見えない」状態になっているわけです。プログラムの度重なる改修の履歴が残されていない、さらにシステムが巨大化・複雑化してブラックボックス化してしまっていて、運用管理者でさえIT資産の全体像を把握しきれていない、中には、開発初期のドキュメントはもちろん最新のドキュメントも不整備または存在しない、システムのことが分かる要員が限られてしまっている、といったケースもあります。システム再構築や刷新の方針を立てるにも、これでは何のアクションも起こせません。だからこそ、老朽化したシステム全体の可視化・見える化を図ることが求められるのです。(次回のコラムに続く)