システムズのマイグレーションコラム
Vol.06 深刻なITシステムのブラックボックス化
2015.10.16
6割近い企業がブラックボックス化している
多くの企業で、製品サポート切れ、自社開発後の度重なる改修によるブラックボックス化、運用コストが削減できない、システムの改善が進まないなど、さまざまなITシステムの運用・保守の課題が複雑化しています。中でも、ブラックボックス化の問題は深刻です。当社がアイティメディア(株)と共同で実施した「ITシステムのブラックボックス化についてのアンケート」によると、全体の57%が現行システムを「ブラックボックス化している」と回答しており、汎用機またはオフコンユーザ層だけを見ると、77%にも上っています(図)。
システムのブラックボックス化状況
ドキュメントの欠如とシステムの複雑化
システム環境別に見ると、メインフレームとオフコンではブラックボックス化の認識率は7割前後ですが、WindowsやLinuxサーバで半数未満となっています。汎用機などレガシーシステムほどブラックボックス化が深刻化していますが、同時に、ブラックボックス化は汎用機だけの問題ではない、ということも言えるでしょう。ブラックボックス化の主な要因としては、該当者の過半数が「仕様書やマニュアルなどドキュメントがない」および「改修を重ねてシステムが大型化・複雑化している」といった点を挙げています。汎用機ユーザーだけを見ると、「改修を重ねてシステムが大型化・複雑化している」が要因のトップに挙げられたほか、「特定ベンダの独自仕様で構築される」こともネックになっているようです。
ブラックボックス化の弊害
過半数(メインフレームだと8割近く)の企業がブラックボックス化の悩みを抱えている、というのは深刻な問題です。アンケートでは、弊害として、「ビジネス変化に迅速に対応できない」という回答が3分の2を占め、「システムダウンや障害発生時の迅速な対応ができない」、「システム改修時のトラブル発生」などを上回りました。ITと経営は密接な関係にあり、柔軟なITはスピード経営に不可欠です。その足を引っ張っているブラックボックス化の問題は、どの企業にも大きな課題として立ちふさがっているようです。本コラムでは、引き続き、ブラックボックス化した企業の事例を紹介しながらこの問題を掘り下げ、解決に繋がる道筋を探っていきたいと思います。